うぐいす餅ってご存じですか?
***うぐいす餅***
春を告げるうぐいすを模した和菓子で、羽二重餅で小豆のこしあんを包みその上に「うぐいす粉」と呼ばれる緑色の粉をまぶしたものです。緑色の粉と聞くと得体のしれないもののように聞こえますが(笑)、これは「青大豆」という緑色の大豆の粉なんですね。緑色のきな粉と思って頂いて大丈夫です。
***緑と青***
話は横にそれますが、日本語って「緑」を「青」っていう時が多々ありますよね。信号も緑色なのに「青信号」緑の葉っぱなのに「青菜」どう見ても黄緑なのに「青りんご」古くから伝統で日本人は「緑」を「青」と表現するみたいですね。
***青大豆***
話をもとに戻しますと…ウチの店では北海道産の青大豆の粉を使用しています。「緑」と書きましたが、本当に見事なまでに「うぐいす色」なんです。日本の伝統色というんですかね、食欲もそそられるし可愛らしい色なんですね。もちろん風味も良くて美味しいです。
ところが弱点が一つ。光に弱くて長時間光に当てっぱなしにすると色あせてきます。数時間でも少し変化するのでお店に並べた時も少し薄くなったりしてしまいますので大変です。でも元々その日中に召し上がっていただくお菓子なのでそんなに影響はないですね。
たまに目の覚めるような緑色のうぐいす餅を見かけるのですが、薄煎りのきな粉に着色料で色付けしたものもですね。光には強いし色鮮やかなので目は引きますが味は…僕個人的には余り好きではないですね。
***こしあん?粒あん?***
うぐいす餅のあんこは絶対おすすめなのは「小豆こしあん」です。それには理由が2つあります。
1つはうぐいす粉(青大豆)の風味を最大限に感じて欲しい。こしあんと粒あんの違いは簡単に言うと小豆の皮があるか無いかです。(細かく言うと製法の違い等色々ありますが今回は省略)粒あんは皮がある分小豆の風味のパンチがあります。だからソコを食べて欲しい時や、それに負けない皮の時などは粒あんを選択します。ですがうぐいす餅は青大豆の風味を感じて味わって欲しいのです。ですので小豆こしあんが最適です。白餡も淡白な味わいなので、この選択もなくは無いですがお菓子のバランスを考えると少しボケるかな?とも思いますので小豆こしあんがベストと思ってます。
ただし、小豆こしあんでも餡玉に丸めれるような固い餡はNG。極限まで柔らかくした羽二重餅には極限まで柔らかいあんこが不可欠です。そこまでこだわって初めて美味しい「うぐいす餅」の完成です。
2つ目の理由はもう半分書いてしまいましたが、羽二重餅との食感の相性です。お餅に粒あんはもちろん合いますしウチも豆大福や苺大福も粒あんを使ったりしています。ただうぐいす餅の場合は柔らかい羽二重餅なのでそのくちどけを実感してほしいのです。風味ではなく食感の部分としても柔らかい「こしあん」がやはり最適です。
うぐいす餅だけで大分と語ってしまいました。。。
ただこれは僕の個人的な想いで書きました
「間違いだらけのうぐいす餅」っていう目の引くタイトルにしましたが、各和菓子屋さんはそれぞれに理由や想いがあって作られてると思いますので正解は一つではないと思います。そう、職人の数だけお菓子があるんです。