びっくり水をした後、再沸騰したら今度は「渋切り」の工程に入ります。「渋切り」とは一旦煮汁(渋)を捨てて豆を奇麗に洗い流す工程です。渋にはその名のごとく渋味やえぐみ苦みが含まれ、渋切りをしないとその渋みが豆に移り淡白な透き通った味のあんこには仕上がらないのです。ですのでこの渋切りは大変重要で、その回数やタイミングは豆の状態にもよりますし、もちろんお店によって様々です。豆の中身を「ゴ」と言いますが、豆の皮が破けてこの「ゴ」が流れてしまってはダメです。それまでに渋切りを終えなければいけません。
因みにまだ中の「ゴ」が固い状態の時に皮を先に剥き、「ゴ」だけを炊いてこしあんにする方法があります。これを「皮むき餡」といい、淡白な味わいで、色も薄く仕上がります。なぜならこし餡の色は皮と一緒に炊くときの皮の色が中の「ゴ」を染めてしまうのであの色になるんです。
赤飯の色も実は小豆の渋の色なんです。最近は奇麗なピンク色の赤飯も見かけますがあれは着色料で、本来は小豆の煮汁で色を付けます。
それはさておき、渋切りが終わったら本炊きに入ります。弱火でコトコトみたいなイメージですね。圧力釜を使ったり色々方法はありますが、ウチは温度を設定して炊いていってます。
本炊きが終わると少しだけ蒸らして豆が指で押すと容易に潰れるほどにします。その豆を製餡機と呼ばれるものに入れていきます。ここでは大量の水が必要になります。イメージとしたら水と一緒に豆を荒いザルのようなものでつぶして皮だけを取り除く。その「ゴ」を今度は細かいメッシュのふるいにかけて粒子をそろえて、こし餡の元になる「生餡」を取り出します。
このメッシュの荒さで生餡の滑らかさと風味と歩留まりが決まります。当然細かい方が舌触りが良く、上品な感じになりますが味も淡白になります。逆に荒いと小豆の味が引き立ちます。メッシュ選びもそのお店の方向性の一つですね。
さらに続く・・・