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柏餅(かしわもち)その② 柏の葉のヒ・ミ・ツ

●なぜ柏の葉?●

 

桜餅の葉は食べる人がいるけど(むしろ食べる人の方が少し多い:2022年あん庵調べ)柏の葉は余程のツワモノでなければ食べられないので、良い子は食べない様にね。

そしてあまり気にした事ないと思うのですが、なんで柏餅って柏の葉っぱで包んでるの問題です。いやいや、逆でしょ。柏の葉に包んだから柏餅っていうんですね。ま、どちらにせよなぜ柏か?

 

これはお正月のお鏡餅に乗せる橙(だいだい)と同じ話なんですが…ん?、お鏡の上には「みかんを乗せてる?」いや、みかんじゃダメなんですよ本当は。

橙はなった実を落とさずに何年も新しい実をつけていくことから、「代々、家が繁栄するように」という願いが込められています。それは子孫が繫栄しますようにの願いを込めて、特に家単位、家族を重んじる時代には重要な意味を持ったのです。だから絶対みかん派の人は来年から橙を乗せて下さいね(笑)

 

それと同じく柏の葉は落葉樹にもかかわらず新芽が出るまでは古い葉が落ちないという特徴があり、橙と同じく代々家が続いていく、特に昔は男社会だったので男の子の節句に柏が選ばれたという事です。

それに加え、柏の葉には防腐作用があると言われていて流通や温度管理が整っていなかった時代には機能的役割がありました。そしてもちろん忘れてはならないのがほのかな香り。

「風味」というくらい香りは食べ物にとって重要なスキルです。積極的香りづけ(リキュールやエッセンス等)の洋菓子に対して、間接的で消極的な香りづけをする和菓子。どちらがいい悪いではありませんが、素材の味を引き出す日本の製法がここにも表れています。

 

 

 

●サルトリイバラ●

 

という話を聞いて一件落着と思いきや、柏餅だけど柏の葉っぱで巻かない事もあるんです。

広島など西日本の一部地域では柏の葉ではなくてサルトリイバラ(サンキラ)の葉を使って柏餅を作ります。「いばら餅」とか「おさすり」とか別の名前がついたりもしていますが、それを「柏餅」という名前で通ってるところもあります。この葉っぱで育った子どもが大きくなって他府県で柏葉の柏餅を見た時に「なんじゃこの葉っぱ!」って驚く話も何回か聞きました。

半月状にくるむタイプもありますが、2枚使う事も多いようです。僕は逆にサルトリイバラの事実を知らなかったのでこの業界に入って知った時に衝撃を受けましたね~

続く

●松田なんで店をつくったのか? https://w-anan.jp/about/
Twitter https://twitter.com/wagashi_anan/status/1257227130133286913


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