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あんこ嫌いのお客様

たまにあんこが苦手という方に出会います。
今日来られたお客様もその一人。

ん?なぜあんこ嫌いの人が和菓子屋に来るのかって?
なんでも、営業で回ってる最中にウチの店の風貌が気になって、ホワイトデーのお返しを買おうと思ってご来店されたとの事。

なんせ、ショーウインドウには「どうする?ホワイトデー」とデカデカとウチのブランディングマネージャーが書いてるもんだから何となく引きずり込まれたのかも知れない。アリジゴク(笑)

ホワイトデーのお菓子を買って帰ってそれで終わりのはずだったのが、苺大福が目についてしまって「美味しそう」と思って頂いたようだ。

30代のその男性は小学校の時にまんじゅうを食べてそれがまずかったもんだから、それ以来食べてなかったらしい。

セカンドコンタクト。

店内で召し上がって、感想は「美味い!」

ウチの店の方針は「和菓子で世界を幸せに」
それと同じくらい思ってることは「あんこ嫌いこそあんこを食べて欲しい」という事。

僕も「オクラ」や「牡蠣」が食べられない。
何度もチャレンジして結果本当にまずくて食べられない。

だからあんこも本当にダメな人がいる。それは理解してるし、そんな方に無理やり食べさせていいわけが無い。

でも子どもの時にたまたまダメなあんこを食べてしまって、「あんこ」=「まずい」と刷り込まれた方は食わず嫌いになってしまってる。いや、本人は食べた結果嫌いになったのだから食わず嫌いではないと思ってる。それも又当然。

この責任は誰にある?

答えは和菓子屋の努力が足りないんだと思う。
和菓子は大人だけのものではない。子どもも普通に食べるべきなのに。

子どもが自分のお小遣いを握りしめてケーキ屋さんにケーキを1つ買いに行く。それは普通の事なのに、お小遣いを握りしめて和菓子を1つ買いに行ける和菓子屋の何と少ない事か。

もちろん全ての和菓子屋が敷居を低くする必要はないし、一見さんお断りの店も大事だとは思う。でも入りづらい店ばかりでも文化は続かない。

だからそんな子どもたちにも来て欲しいって思ってあん庵という和菓子屋を作った。その時生まれた世代ももう20歳を過ぎる。今日のお客さんもその時はきっと小学生だった。その時で会ってれば和菓子好きの大人になったかもね。


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